オパールの霧 (2017)

ピアノ、ライブエレクトロニクス
6’30”

音楽は通常、調性やハーモニー、リズムパターン、音色などの変化あるいは移動を聴者に観測させることで、あるセクションから別のセクションへの切り替わりを提示する。
このような、音楽の構成における「境界」をにじませることに焦点をおき、限られた音のみで構成された色彩のグラデーション、エレクトロニクスと奏者との相互の呼応から生まれる即興性、一定と不定のリズムの混合といった要素を取り入れた。

モノクローム・アイビー (2016)

フルート、ファゴット、ピアノ
8′

ファゴット、フルート、そしてピアノという編成で何ができるかを考えたとき、ピアノの硬質な音による冷たい壁の上を、二本の木管がツタのように絡み合ったり離れたりしながら伸びていくというイメージが想起された。

パズル・リング (2015)

ピアノ独奏
5′-6′

「回る」、「巡って戻ってくる」というジェスチャーをテーマとした作品。
あるところでは音群がヨーヨーのように躍動感をもって行き来し、また別のところでは異なる複数の要素が歯車のように噛み合って動き続ける。

星筐(ほしがたみ) (2014)

ソプラノサクソフォン、チェロ、ピアノ
5′-6′

異なる性格の3つの楽曲から成る小品集。

I. Largo
II. Risoluto
III. Scherzando

ひかりがそらにばかりあったころ (2014)

ヴァイオリン、ピアノ
4′

緒 (2009-2010; 2014)

チェロ、ピアノ
13′

「緒」という漢字には、「糸やひもなど細長いもの」「楽器の弦」「長く続くもの」「魂をつなぐもの」「物事のはじめ」という意味が含まれているが、これらはそのままこの作品のコンセプトにつながる。この楽曲は私にとって、創作していくひとつのスタート地点にあたるものである。

音楽の基本要素のひとつにあたる旋律のふるまいに注目したものであり、以下の三つの楽章ごとに旋律のあり方や関係性が変わってゆく。

I. Aria … 一本の長い旋律
II. Fughetta … 二本以上の旋律が絡み合う
III. Choral … 二本以上の旋律が同時に響く