溟渤を織る星の糸 (2014; 2015)

オーケストラ
5′

かつて夜空というものは、あるところでは天空の一面をおおう一枚の巨大なタペストリーと言われ、またあるところでは金銀に輝く無数の舟が流れつづける広大な海と言われていた。太陽が沈んだあとの群青色の空とまたたく星粒というものは、古代から人を魅了してやまないものであっただろう。この作品は、そういった夜空そのものの美しさとそれにまつわる様々な想像を、そのまま一枚の絵に描くように作った音楽である。

下地には、我々にも身近な十二星座の恒星の明るさや大きさ、位置、地球からの距離などを数値化したデータが使われている。そこから生まれた音群はばらばらに独立しているようにも、お互いに干渉しているようにも振る舞い、曲のはじめから終わりにかけてひとつのグラデーションを織りなす。