響きの庭 Ⅱ 〜 5本のファゴットのための (2017)

ファゴット五重奏
13′

拍子や秒数などのような、ひとつの基準によって定められた単位によるのではなく、5人の奏者がお互いの音を認知することにより成立するアンサンブルを目的とした。奏者は自らの音を奏する際は常に「その瞬間の音あるいは間(休止)」に依存しており、5人のなかには中心となる存在は無くなり、互いに対等となる。

曲の構成は大きく二つに分けられ、前半は〈テーマと4つのバリエーション〉、後半は〈ゆらぎと共鳴〉である。
前半の〈テーマ〉となる部分ではひとつひとつの音は独立し、前後の音との能動的なつながりは、音の発せられるタイミングという点以外にはまだ表れない。そこから〈4つのバリエーション〉を通じて、一つのパートの中での点同士のつながりから、さらに他のパートへのつながりへと発展し、有機的なメロディを形成してゆく。
打ち寄せる波のようにパターンがくり返される部分から〈ゆらぎ〉が始まる。ただし、パターンごとに、奏者はいくつかの音あるいは休止から毎回選択するように設定されており、それによって生まれるハーモニーは偶然性を帯びる。そして最後の〈共鳴〉では、断片的なメロディが複数のパートで奏されるが、このメロディの形や長さはパートごとによってわずかに異なり、その「ずれ」が音色のグラデーションを生み出す。全てのパートがA音に収束し、曲が閉じられる。